お中元をいただいたときに欠かせないのが「お礼状」です。
ただ感謝を伝えるだけでなく、品物が確かに届いたことを知らせる大切な役割もあります。
しかし「どんな文章にすればいいのか」「取引先や社外の方にはどう書けば失礼がないのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、お中元のお礼状の基本マナーから、封書・はがき・メールでの実例までを網羅的に紹介します。
そのまま使えるフルバージョンの例文を複数掲載しているので、状況に合わせてすぐに活用できます。
取引先や社外の方に誠意が伝わる文章のコツを押さえて、信頼関係をさらに深める一通を仕上げましょう。
お中元のお礼状はなぜ必要?
お中元をいただいたときに、ただ受け取るだけで終わらせてしまうのは少し物足りない印象を与えてしまいます。
ここでは、お礼状を出す意味を整理してみましょう。
感謝を伝えるだけではないお礼状の役割
お中元のお礼状は、単に「ありがとう」を伝えるためだけのものではありません。
お礼状には「感謝の気持ち」と「品物が確かに届いた」という報告の意味が込められています。
特に取引先や社外の方にとっては、品物が無事に届いたかどうかも大切なポイントです。
そのため、お礼状は「感謝+到着報告」の二つの役割を果たす重要な手紙なのです。
役割 | 具体的な内容 |
---|---|
感謝 | 「このたびはご丁重なお中元を賜り、誠にありがとうございました。」 |
到着報告 | 「品物を確かに拝受いたしましたので、まずは書中をもちまして御礼申し上げます。」 |
取引先や社外に与える信頼感と印象
お礼状は、相手との関係をより強固にする役割もあります。
「贈って終わり」ではなく「受け取ったあとに丁寧なリアクションがある」ことで、相手は安心感を覚えます。
ビジネスにおいては、この安心感こそが信頼につながります。
お礼状は、形式的なものに見えて実は大切なコミュニケーションのひとつなのです。
つまり、お中元のお礼状は単なるマナー以上の価値を持つ存在だといえます。
お中元のお礼状の基本マナー
お中元のお礼状を書くときには、形式や用紙、文章の流れなどに一定のルールがあります。
ここでは、基本をしっかり押さえて、誰に送っても失礼のないお礼状を仕上げるコツを紹介します。
封書・はがき・メールの適切な選び方
もっとも丁寧なのは封書でのお礼状です。
特に取引先や社外の方へは、封書を使うのが無難で安心です。
はがきは少しカジュアルに感じられるため、親しい関係性の場合に適しています。
メールはスピード感があるため、まず先に感謝を伝えたいときに便利です。
「封書=正式、はがき=略式、メール=即時対応」と覚えておくと使い分けがしやすくなります。
形式 | 特徴 | おすすめの相手 |
---|---|---|
封書 | もっとも丁寧でフォーマル | 取引先、社外の目上の方 |
はがき | 略式でカジュアル寄り | 親しい関係先 |
メール | 即時対応できるがやや軽い | メールでのやり取りが主流の相手 |
便箋・封筒・筆記具の基本ルール
便箋は白無地が基本です。
季節感を表す控えめな柄入りでもかまいませんが、華美すぎないものを選びましょう。
封筒は無地の白、またはシンプルなものが適しています。
筆記具は黒や青のペンが一般的で、安定感のある文字を心がけましょう。
便箋や封筒に派手な色や模様を使うとビジネスには不向きですので注意してください。
文章構成の基本フロー(頭語・挨拶・感謝・結語)
お礼状の文章は「型」を押さえると迷わずに書けます。
以下のような流れにすると自然にまとまります。
構成 | 内容例 |
---|---|
頭語 | 拝啓、謹啓 など |
時候の挨拶 | 盛夏の候、酷暑の折 など |
相手の安否を気遣う言葉 | 貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます |
感謝 | このたびは結構なお中元を賜り、誠にありがとうございました |
今後の関係 | 今後とも変わらぬご厚誼をお願い申し上げます |
結語 | 敬具、謹白 など |
この型を守れば、誰にでも失礼のない文章が完成します。
取引先・社外宛に適した言葉遣い
お中元のお礼状では、言葉遣いが文章全体の印象を大きく左右します。
特に取引先や社外の方への文面は、誠実さと丁寧さが伝わるように工夫することが大切です。
敬語の正しい使い方と注意点
お礼状では尊敬語・謙譲語・丁寧語を適切に組み合わせて使います。
例えば「いただく」は謙譲語で、自分側がへりくだって表現する言葉です。
「お贈りいただき」「頂戴いたしました」などは、相手を立てる自然な表現です。
逆に「もらう」「受け取った」といった言葉は直接的で、ビジネス文書には不向きです。
好ましい表現 | 避けたい表現 |
---|---|
お贈りいただき、誠にありがとうございました | もらってありがとうございました |
ご厚意を賜り、心より御礼申し上げます | 親切にしてもらって感謝します |
頂戴いたしました | 受け取りました |
時候の挨拶・結び言葉のおすすめ表現
お中元の季節に合う時候の挨拶には、夏らしさを表す言葉を選びます。
例えば「盛夏の候」「酷暑の折」「炎暑のみぎり」などが代表的です。
結び言葉は相手の健康や繁栄を祈る内容が適しています。
「貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます」「皆様のご健勝をお祈りいたします」などがよく使われます。
冒頭と締めの言葉を整えることで、文全体が格調高くまとまるのです。
避けるべきNGワードとその理由
お礼状では、不安や不吉さを連想させる表現は避けるのが基本です。
たとえば「倒れる」「弱る」といった言葉は、相手を気遣っているつもりでも不適切とされます。
また、あまりにくだけた口語も避けましょう。
「よろしくお願いします」よりも「お願い申し上げます」とすると、より改まった印象になります。
言葉のひとつひとつに気を配ることで、相手への敬意が伝わります。
取引先向けのお中元お礼状【封書の例文集】
ここでは、取引先に宛てたお中元のお礼状の例文を紹介します。
フォーマル度合いや相手との関係性によって使い分けできるように、複数のフルバージョンを掲載しました。
フルバージョン例文① 一般的な取引先宛
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
このたびは結構なお中元の品を頂戴し、誠にありがとうございました。
社員一同ありがたく拝受し、心より感謝申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
まずは書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具
令和7年7月吉日
株式会社〇〇〇〇
営業部 山田太郎
フルバージョン例文② 特別にお世話になっている相手宛
拝啓 酷暑の折、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素はひとかたならぬご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたびはご丁重なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
日頃のご厚情に深く感謝申し上げますとともに、今後も変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。
暑さ厳しき折、貴社の皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具
令和7年7月吉日
株式会社△△△△
代表取締役 佐藤花子
フルバージョン例文③ ややカジュアルな相手宛
拝啓 連日の暑さが続いておりますが、貴社の皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
このたびは心のこもったお中元をいただき、誠にありがとうございました。
社員一同で美味しく頂戴し、大変ありがたく感じております。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
取り急ぎ書中にて御礼申し上げます。
敬具
令和7年7月吉日
株式会社□□□
総務部 田中陽介
例文のタイプ | 使用シーン |
---|---|
例文① 一般的 | 初めてのお取引や通常のお礼 |
例文② 特別なお世話 | 長年の取引先や重要顧客 |
例文③ カジュアル | フランクな関係性の取引先 |
相手との関係性に合わせて例文を選ぶことが、心のこもったお礼につながります。
社外のお客様・関係者向けお中元お礼状【封書の例文集】
ここでは、お客様やビジネス関係者など、取引先以外の社外の方に送るお礼状のフルバージョン例文を紹介します。
フォーマルさを重視したパターンと、少し柔らかめにまとめたパターンを用意しました。
フルバージョン例文④ 丁寧なフォーマル型
謹啓 酷暑の折、貴社におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたびはお心のこもったお中元を賜り、誠にありがとうございました。
社員一同ありがたく拝受し、心より御礼申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
謹白
令和7年7月吉日
株式会社〇〇〇〇
総務部長 鈴木一郎
フルバージョン例文⑤ 少し柔らかめの表現型
拝啓 盛夏の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
このたびは結構なお中元をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
社員一同で有難く頂戴し、楽しく使わせていただいております。
日頃より温かいご厚情をいただいておりますこと、改めて感謝申し上げます。
これからも末永いご縁をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。
まずは書面にて御礼申し上げます。
敬具
令和7年7月吉日
株式会社△△△△
広報部 高橋真理子
例文のタイプ | 特徴 | おすすめの相手 |
---|---|---|
例文④ フォーマル型 | 敬語を多用し、格式を重視 | 大口顧客や重要な関係者 |
例文⑤ 柔らかめ型 | 親しみを感じさせる表現 | 親しいお客様や長年のお付き合いの方 |
相手に合わせて文体を調整することが、丁寧さと誠意をより強く伝えるポイントです。
お中元のお礼状【メール例文集】
最近では、ビジネスのやり取りがメール中心になっている企業も多いため、お中元のお礼をメールで伝えるケースも一般的になっています。
ここでは、すぐに使えるフルバージョンのメール例文を紹介します。
フルバージョン例文⑥ 標準的な取引先宛メール
件名:お中元の御礼
株式会社〇〇 御中
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の山田でございます。
このたびは結構なお中元の品を賜り、誠にありがとうございました。
社員一同ありがたく頂戴いたしました。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
まずはメールにて御礼申し上げます。
株式会社△△
営業部 山田太郎
フルバージョン例文⑦ 親しみを込めたメール
件名:お中元ありがとうございました
〇〇株式会社 〇〇様
いつもお世話になっております。△△株式会社の佐藤です。
このたびは心のこもったお中元をお送りいただき、誠にありがとうございました。
社員一同で楽しく使わせていただき、とても嬉しく思っております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
取り急ぎメールにて御礼申し上げます。
△△株式会社
総務部 佐藤花子
フルバージョン例文⑧ 改まったフォーマルメール
件名:お中元のご送付ありがとうございました
〇〇株式会社
ご担当者様
平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。株式会社△△ 総務部の田中でございます。
このたびはご丁重なお中元を頂戴し、誠にありがとうございました。
社員一同ありがたく拝受いたしました。
酷暑が続きます折、貴社の皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
まずはメールにて御礼申し上げます。
株式会社△△
総務部 田中陽介
例文のタイプ | 特徴 | おすすめの相手 |
---|---|---|
例文⑥ 標準的 | フォーマルで汎用性が高い | 一般的な取引先 |
例文⑦ 親しみ型 | 柔らかい表現で距離を縮めやすい | 親しい関係先 |
例文⑧ フォーマル型 | かしこまった文面で礼儀を重視 | 重要な取引先や役職者宛 |
メールでも封書同様に、敬意を込めた言葉選びが重要です。
お礼状を送るタイミングと送り方
お中元のお礼状は、送る時期や方法によって印象が大きく変わります。
「せっかくの気持ちを伝えたいのに遅れてしまった…」とならないよう、ここで基本のマナーを確認しておきましょう。
お中元到着から何日以内に送る?
お礼状はできるだけ早く出すのが鉄則です。
目安は品物を受け取ってから3日以内とされています。
もしすぐにお礼状を書く時間がとれない場合は、メールで先に感謝を伝え、あらためて封書を送ると丁寧です。
タイミング | 推奨アクション |
---|---|
当日〜翌日 | すぐにお礼状を作成・投函 |
2〜3日以内 | 通常のマナーとして適切 |
1週間以内 | 遅れた理由を添えて送る |
宛名・役職・署名の正しい書き方
お礼状で意外とミスしやすいのが宛名や役職の表記です。
誤字や役職の記載漏れは失礼にあたりますので、必ず確認しましょう。
署名には会社名・部署・氏名を明記し、日付を忘れずに書きます。
特に役職名の誤りは大きなマイナス印象になるため注意してください。
封書とメールを組み合わせる最新マナー
近年では、まずメールで迅速にお礼を伝え、その後に封書を送る「ハイブリッド対応」が広まりつつあります。
メールだけでは形式的に感じる場合もあるため、正式なお礼はやはり封書で送るのが安心です。
「スピード感はメール」「正式な感謝は封書」と考えるとわかりやすいでしょう。
よくある質問(Q&A)
お中元のお礼状に関して、よくある疑問とその答えをまとめました。
実際に困ったときに使えるフルバージョンの例文も紹介します。
お礼状が遅れた場合のフォロー方法
うっかり送るのが遅れてしまった場合でも、そのままにせずフォローすることが大切です。
一言お詫びを添えてお礼状を送れば問題ありません。
例文:
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
このたびは結構なお中元を頂戴し、誠にありがとうございました。
ご連絡が遅くなりましたことをお詫び申し上げますとともに、改めて心より御礼申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
お中元にお返しは必要?
基本的にお中元に対するお返しは不要です。
お礼状を出すことで十分に感謝の気持ちが伝わります。
ただし、特別に感謝を示したい場合は、時期をずらして改めて贈り物をすることもあります。
メールだけで済ませてもいい?
急ぎの場合は、まずメールで感謝を伝えるのは問題ありません。
ただし、正式なお礼は封書で送るのがより丁寧です。
関係性に応じて「メールのみ」「封書+メール」を使い分けるのが2025年のスタンダードといえるでしょう。
シーン | おすすめ対応 |
---|---|
急ぎで伝えたい | メールで先に感謝 → 後日封書 |
形式を重視する相手 | 封書のみ |
メール中心のやり取り | メールのみでも可 |
まとめ|お礼状で感謝を「形」にする
お中元のお礼状は、単に礼儀だから送るものではなく、相手との関係を大切に育てるための大事なツールです。
基本マナーを押さえていれば、誰でも安心して書くことができます。
基本を守れば誰でも失敗しない
お礼状は「封書・はがき・メール」の使い分けと、文章構成の型を知っておけばスムーズに書けます。
大切なのは、早めに、丁寧に、感謝の気持ちを伝えることです。
例文を参考にすれば、堅苦しすぎず、それでいて失礼のないお礼状が完成します。
自分らしさを込めると関係性が深まる
形式を守ることは大切ですが、そこにひとこと自分らしい表現を添えると、より温かい印象を与えられます。
たとえば「皆様でご活用いただければ幸いです」といった気遣いの一文を入れるのも良い工夫です。
マナー+自分らしさを意識することで、相手との距離はさらに縮まります。
ポイント | 具体的な工夫 |
---|---|
基本マナー | 形式、時候の挨拶、結語を整える |
スピード感 | 品物到着から3日以内に送る |
自分らしさ | ひとこと添える・相手を思う表現を加える |
お中元のお礼状は、感謝を「形」にして伝えることで、ビジネス関係をより円滑にしてくれるものです。
ぜひ本記事の例文を活用して、心のこもったお礼状を仕上げてください。